« 犬と暮らしを楽しもう | トップページ | 着工と完了 »

猫のデクロウ(抜爪手術)その2

 以前に、猫のデクロウ(抜爪手術)という記事を書きましたが、「抜爪」で検索してこられる方が大変多くなったようです。

 感情論ですまされやすいテーマですが、折角ですから医学的にどうなのか精神面を含めて考えてみたいと思います。
 私も、この手術を全否定するつもりはありません。
  幼児やお年寄りに限らず免疫系に問題があり、猫の凶暴性が強いなど、いかんともしがたい理由がある場合があります。法律で規制しろなどど米国では主張する団体があるようですが、私は最終手段として選択の余地はのこしておくべきだとは思います
 ただし、信頼できる獣医師とよくよく相談するべきです。
 ご参考までに、私の手持ちの資料の中に獣医師達のコメントなどがありますので御紹介します。

☆米国の動物行動学の専門医カレン・L.オ-バ-オ-ル獣医師の著書「動物行動医学」から☆
爪除去手術による外科的リスクの他、行動に関する二次的リスクが上げてありました。

◎外科的リスク
・ もっとも一般的な外科的合併症は、稀ではあるが、麻酔と止血に付随するリスクである。
◎行動に関する二次リスク
・ 爪を除去したのち、トイレ砂を使用する状況に戻すのが早すぎると、猫に素材嫌悪感が現れる事がある。
・ 抜爪術後に明らかになる可能性のある行動上の問題は、肢を触られる事に対する恐怖や肢に体重をかけたがらない。
 これらの合併症はめったにおこらないが、猫はまるでほんとうに痛いかのように行動する。
 動物の幻想的な痛みを評価する事は、現在のところ不可能である。X線検査、身体的検査、および血液生化学分析によっては、通常なんの異常も判明しないが、このような猫は、全ての移動や交流に関る行動を変えてしまうのである。

 この他、医学的観点だけでなく、飼い主の行動のパターンに照らし合わせ、この手術を予防的手段として行うべきではない、とオーバーオール獣医師は主張しています。

 ちなみに、合併症に関しては他に、1988年Bennettや1990Landsbergの報告も情報としてあげています。
「Bennttらは、抜爪術による合併症の発生は10%未満であり、望ましい行動と比較して、望ましくない行動が増加するリスクはなかったとしている。Landsbergは殆どの猫(67%、233頭157頭)が抜爪術から3日以内に回復し、96%(233頭中223頭)の猫が2週間以内に完全回復する事を発見した。これらの研究ので、もっとも多く報告があった合併所は、爪の再生(3%)であった」

☆日本獣医師会「小動物の診療指針」☆
ここに断尾・断耳の項目があります。

「 飼育者の都合等で行われる断尾、断耳等の美容整形あるいは声帯除去術、爪除去術は、動物愛護・福祉の観点から好ましいことではない。
 したがって、獣医師が飼育者から断尾・断耳等の実施を求められた場合には、動物愛護・福祉上の問題を含め、その適否について飼育者と十分に協議し、安易に行わないことが望ましい。しかし、最終的にそれを実施するか否かは、飼育者と動物の置かれた立場を十分に勘案して判断しなければならない

 獣医師の井本史夫先生にも、デクロウの疑問に大してにコメントを頂いたのですが、この問題の難しさを判りやすく説明してくださったので、少し御紹介したいと思います。

☆井本先生から頂いたコメントから☆
「デクロウ declaw  de- 除去する claw 爪 の合成語だと思います。
 俗っぽい印象を受ける言葉です。
 おそらく、一般の辞書には載っていないのではないでしょうか。
 正式には、onychectomy といいます。

 さて、この問題は、人による動物への関わり方の問題です。

 人以外の動物を神から使わされたのもと考え、動物に対して何をしてもよいと思う立場と、人と人以外の動物を同レベルに考え、なにもしないと思う立場が、両端に位置し、その間で、いろいろな立場を人はとるわけです。
 日本の文化は、後者をスタートして、欧米化が進む中で前者の立場に近くなっていっている現状です。
 もちろん、人によって濃淡はあります。
  :::略:::
 獣医師は、多くの情報を持ち両極端の中でどうあるべきかを常々考え仕事をしていく 職業です。
 健康な動物の肉体に人のある価値観によって傷つける・・・という問題(不妊手術、 爪切除術、断尾術、断耳術などなど)は、そういう意味で永遠の課題です。時代の価値観によって変化するものでもあります。
 私がヒトと動物の関係学会を立ち上げた動機でもあるのです」

« 犬と暮らしを楽しもう | トップページ | 着工と完了 »

ペット」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 猫のデクロウ(抜爪手術)その2:

« 犬と暮らしを楽しもう | トップページ | 着工と完了 »