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建築工事現場と誇り

 少し凹む事があったので、癒されようかなとエッカ(悦花)先生こと、吉田悦子さんのブログにふらりと向かいました。
 そして、飛び込んできたのが月刊「つち」のエッカ先生の記事。
 色々な分野に関られているとは判ってはいたのですが、建築工事の現場の話も扱われていたとは……
 驚いて文を読み進めて行くうち、懐かしさに涙が出てきました。

 私は設計者として施工現場とのお付き合いは現在でもありますが、修行時代初期は、建築現場に常駐する施工監理者も経験させていただいていました。
 (実は、男女雇用均等法で、女性も工事現場に出る事ができるようになった初期の頃、私は日本で始めての女性の現場監督として、多少騒がれたという経歴があったのです)
 私はこの時に、モノを作り上げる誇りと責任というものを、沢山の職人さんや先輩から叩き込まれました。

 修行時代の担当建物は100戸前後のマンションの現場で、その職種数と出入する職人さんの人数は、相当に多いものでした。活気に満ち、そして、それぞれに技術を誇っていました。

 私は新社会人で、マナーや仕事の取り組みまでこの中で教えていただいていたのです。
 どんな建物でも、多種の分野の専門家が集まり積み上げていくもので、自分の仕事への誇りと、お互いの仕事への信頼と思いやりがあってこそ、素晴らしい作品が出来る事。
 誰かが整理整頓を怠れば、作品の精度に影響が出、また、手を抜いたりすれば、すぐに工事は止まる事。
 美しい作品は、美しい職場環境から生まれるのだとも、職方(職人さんたち)の姿勢から教えられたのです。

 私はその職方に指示を出す立場。しっかりしなくていけないのですが、判らない事も多く、また現場では瞬時の判断を求められます。
 川上の私が手を抜けば、全部がだめになってしまいます。
 ある日新人である甘えで少しばかり気が抜けてしまった事がありましたが、その時に型枠大工さん(コンクリートを流し込む型をつくる大工さん)に、「コンマ1ミリの仕事をしてる。これから住む人の命を預かってるんだ、アンタがそれじゃダメだろ!」と怒られた事があります。
 「人の命を預かっている」これは、今でも私の心の横にあります。

 自分が明るく元気に働く事が、いい作品を作る小さなサプリメントで、それがかなり重要である事。
 勉強不足で上司や先輩に怒られ、「自分は役立たずで、みんなの足を引っ張ってる」と凹んで現場に出たことがあります。
 現場の状態をチェックしながら歩いていると、ふと掌にドーナツが渡されたのです。見ると、左官の職長さん。
 「笑顔でいてくれると、それだけで精度よく仕事ができる。これ食べて元気出してくれな」と励まされました。
 気がつくと、違う工事職どうしの挨拶が明るく気持ちよく出来ている現場ほど、作品の精度が確かにいいのです。明るい現場は、それだけで作り上げる作品への愛と責任感が持続するわけです。創っているのは人間ですものね。

 私は、一緒に作り上げた職方と、作品であるその建物に誇りと愛着を持っています。(一部のおかしな人達が最近問題を起こしましたが、設計・施工者で創ったものに愛着を持っていない人はそうはいないはずだと信じています)
 一生懸命作り上げた、自分の子供と同じですから当然です。作品である建物で、生活が始まり、子供が成長するのがとっても楽しみでした。
 今でも自分が手がけた建物を見に行きます。住宅ならば、明かりが点いていたりするだけで、何ともいえない幸福感を得られます。
 そう、マンションならば、楽しく住んでいただくために私達は1年以上もかけて何もないところから創り上げたんです。
 なのに、ペット問題でコミュニティがもめているらしい……ある一件でそう悲しい話を聞いた事が、私がペット問題に取り組む一つのきっかけともなっています。

 長く書いてしまいましたが、エッカ先生の記事を読んでいて、その時の誇りに満ちた職人さん達を思い出したのです。
 最近の住宅関連の「ペットブーム」では、欲もう関りたくないと凹まされる事も少なくありませんが、私がこの問題に取り掛かる事になった、「誇り」と「愛着」、そして、正しい事を伝えようという「初心」を思い出す事ができました。

 「一生懸命創りました。住んでいる方には幸せな我が家であって欲しい」
 また頑張ります。

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